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2005年11月12日

沈まぬ太陽

沈まぬ太陽.jpg

読み終わりました。

凄い良い本だと思います。

事実関係の真偽のほどが、どうなのかと言う議論がある様ですが、
御巣鷹山の事故に関する部分や、
それに関連する日航の腐敗した当時の体制と言うのは、
嘘はないと感じます。
 
 
ネット上で<沈まぬ太陽余話>という匿名の記者が書いた記事がありますが、
恩地元や国見会長、のモデルになった人が、
実際の人物像と違うといった批判的な文章に対し、
真偽の程を確かめようが無いので何とも言えない。
 
 
ただ彼等が直面し、取り組んできた問題や体質に関しては、
ぼんやりして霧に包まれている部分、明るみに出ている事も含め、
ほんとうの事ではないでしょうか。
 
 
やはり僕はこの本を読んでますます飛行機に乗りたくなくなりました。
そして今年の春に起きたJR西日本の事故を思い出しました。
読めば読む程状況が似ています。
 
 
事故当時、機長の責任を問う記事が世間を賑わし、
ボイスレコーダーの「ドーンと行こうや」の部分だけを取り上げ、
マスコミのやり玉にあげられていた機長。
 
 
JR西日本の運転士の連続オーバーランの部分だけを取り上げ、
連日バッシングじみた報道をしてきたマスコミは、何も変わっていないし、
日航とJR西日本、会社こそ違えど、
元は国の特殊法人と言う、同じ穴のムジナ。
 
 
コスト削減を名目に、無理な人員削減、無理なダイア増設。
負担は雇用者に押しやり、一部の人間は政治家、閣僚と癒着。
年金の組織も同じですね。
 
 
人の命を軽んじている辺りが、良く似ていると凄く感じました。
現場で働いている人達は、毎日大変な思いをして働いているのに、
1回の事故で信用を失ってしまう。
自分の会社が世間で悪くいわれるなんて、
会社を愛して仕事をしている人達には耐えられない事でしょう。
 
 
真面目に働いても、当時日航と言う事で、「人殺し」呼ばわりされたそうだし、
JR西日本も同じだったことでしょう。
 
 
それだけに、沈まぬ太陽の4、5巻の会長室編での、
当時のお金の不正な流れ、不当な投資、そして搾取と言った部分には、
もの凄い嫌悪感を抱かざる得なかった。
 
 
何か大きな事件、事故が起きると、
当然それは会社全体としての責任が問われます。
 
 
その際に何の罪も無い、
一生懸命働いている人達まで避難の対象になるのだと、
少し怖い思いもしました。
 
 
そういう人達の努力が報われる様な努力をする義務が、
大きな会社にはある。
そう思わせる小説でした。
 
 
この本の最も大事な部分はそこであり、
恩地元の人生をどう描くかではないし、国見会長(カネボウ会長伊藤淳二)の
人物像がどうであったかではない。
 
 
<沈まぬ太陽余話>の方は、いかにこの小説がインチキかを書いてあるだけで、
ここの大事な部分に対して、何の言及もしていなく、
何か後ろに日航側の陰を感じる様な文章だったのが、
僕の読んだ印象です。
 
 
本書の中でも、一部マスコミとの癒着が描かれています。
この余話を読み、ますますその思いが強く感じました。
 
 
僕自身、この小説がノンフィクションとして書かれている訳では無いので、
頭から信用している訳では無い。
 
 
しかし、大きな、そして大事な部分は嘘を書いてある訳ではないし、
やっぱり僕らはこの事故を風化させてはいけないと思う。
 
 
20周年記念番組『ボイスレコーダー』もみたけど、
御巣鷹山の事故の資料を廃棄する動きが、
運輸省であったと言う部分には、呆れて物もいえない位だった。
 
 
<ボイスレコーダー>に記録されていた声。
「これは、駄目かもしれないな」
機長はどういう思いで、効かなくなった操縦桿を持っていたのでしょう。
最後までクルーを励ましていた機長の、
あまりに悲しげな一言が、忘れられません。

投稿者 glam : 2005年11月12日 10:52
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